黄色い花畑で前方を行く少女を見失わぬよう走りながら果たして私はなぜ彼女を追いかけているのだろうかと思い不安を感じた。根拠を捏造し惰性が働いたのかと思うと知らない名前の法に裁かれ懲役が義務である。花畑はどこまでもどこまでも広がりどれだけ走っても終わりが無い。やがて走る力を失い花の上に倒れると空を飛ぶ彼女の姿が見えた。飛んでいく。ずっとずっと飛んで行き蝶々になるつもりだろう。いや、彼女はもともと蝶だったのだ。少女の姿をした蝶は私の上に降りると黒い拳銃を懐から出して私に向けた。

「ロリコンは死ね」

私は言い得ぬ恐怖と憎悪に似た感情を抱いたがロリコンではなかったので兎に角それを弁解しようと試みる。

「待て、私はロリコンではない」

銃声を聞き衝撃を感じたのは細い少女の指が引き金を引くのを見るのと同時だった。

弾丸は?見当たりません。頭蓋骨は?無事です。