その壁は僕を見つめたまま動こうとしない。

いつまでもじっとしているものだから僕は不思議に思って声を掛けた。

「すいません」

壁はなにも言わない。僕はそろそろ腹が立ってきた。

「いい加減にしてください。怒りますよ。」

僕の頭が蒸気を上げて煮えたぎってたちょうどそのころ、宇宙衛星の残骸が赤々燃えながら地球に落下していた。

「いい加減にしないとメテオつかいますよ。メテオ」

「め、メテオ!?どきます。どきます。ごめんなさい」

壁は快く僕に道を空けた。