「信じられない」
アレンは信じられないということを伝えるのに最も適していると思われる表情でイドリーに言った。もうずいぶん長い間ソファーの上でいもむしみたいになっている。イドリーは彼が一息入れてまた同じ表情を作るまで机の上でじっと黙っていた。
「信じられないな」
「君が言いたいのは良くわかる。現実的じゃないって言いたいんだろう」
アレンが言葉を選んでいる間にイドリーはようやく地面の、ふかふかのカーペットの上に足を下ろすことが出来た。しかし、左足がまだ机に乗っている間に彼がしゃべりはじめたので不自然な体勢で彼の方を向く羽目になってしまった。
「つまりそういうこと。現実的じゃない」
アレンの返事は簡素なもので彼が話よりアルコールを望んでいるということを示唆していたがイドリーはそれに気づかず腹部を圧迫したまま説得にかかった。
「僕だって、自分の、この眼で見なければ信じられなかったろう。しかしね、僕は君ならそれが出来ると思っているんだ。というのも、君が僕を信じることは、それとはまた別のことだからね」
「友情によって現実主義を打ち壊すことはあるだろう。いや、良くあると言ってもいい。しかし、イドリー、君の言うように、それとはまた別の問題なのだよ。起こるはずの無いことは起らない。もしこれが――」
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