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Purin

2部 リセット


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「さあ、僕の言うことを聞くんだ聞かないとどうなるかわかってるよな?」

山田は発情しながらもやはり冷静を装った。 でもそれはさっきまでの仮面とは違う勝者だけに許されるある種独特の雰囲気を持った偽りであることが僕を押しつぶす確かな敗北の認識をさらに肥大化させて僕はオロオロ歩き回ることも出来ず呼吸に全ての力を使い果たしたけど右手の重みで山田のことを思い出せた 携帯電話に向かって聞く「なにをすればいいんだ」

「まずその場で脱ぐんだ」 僕は息を止めてその場で脱ぐ脱ぐしかない。僕はロボットさながら言われた通りに言われたことを実行する僕に僕の脳を動かす力がないからだ。 「脱いだ」 「全部脱いだか」 「一番上だけ脱いだ」 「2番目も脱げ」 袖口に手を掛けて酸素を補給して息を止めて言われた通りに2番目を脱いで綺麗にたたんでさっき脱いだ一番目の上に重ねてから携帯電話を口に当てて言うけど山田の喋る方が先だった。 「脱いだか。二番目も脱いだかハアハア」 脱いだ。二番目も脱いだ。

「ハァハァ……さっ、三枚目も脱ぐんだ。三枚目もっ……」

受話器の向こうで唾を飲む音が聞こえたけど僕がその意味を知ったのはもうすこし後で僕はただ僕の喋る前に「脱いだか」と聞いた山田がどこかで僕を監視しているのではないかという考えに取り付かれ辺りをキョロキョロ見回しながら三枚目を脱ぐ、言い忘れたけど僕は下着を含めて14枚の服を着ていたでも服を脱がされることに疑問を覚えてそれを山田に問いかけたときには靴下だけになっていたからつまり時が遅かった。 「どうして脱ぐんですか」寒い 「知らなくていいことだ」

このままでは寒くて死んでしまうと思ってエアコンをつけてもいいですかと聞いた僕は自分の愚かさに愕然として息を呑む呑んだ息を吐き出しながらエアコンをつけてカーテンを閉めて靴下を脱いだ。どうして許可を求める必要があると考えたのだろうか僕は服を脱ぐ必要すらなかったたった今たたんだ靴下をながめながら寒さに身を震わせる夏だったが山田都のリビングには四方八方に氷が置かれていて身を震わせるほど寒かった。 山田の声を聞いて僕は更に身を震わせた。 「靴下は脱ぐなよ。もう脱いだか?だったらもう一度履くんだ」 「なんだって!?」お前は僕に欲情しようとしているのか!!


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 目の前が真っ白になって僕は急いでスイッチを探す。トマトスープ海のどこかにあるはずのスイッチを泳いで探して見つけてスイッチが入る。銀色で棒先に球の付いた大きなレバーを引くと僕は一度死んで生き返る僕の中で渦巻いてぐちゃぐちゃになっていたもの悲しみや憎しみや怒りや愛情が吹き飛んでただのプラスティックの塊が残る。残った。 僕は生き返って新しくなっていろんなことが綺麗になって清々しい気分で新しい世界への期待やちょっとした恐怖が胸を膨らませる胸っていうのは心臓のこと一通り瞳を輝かせたら灰色で汚いプラスティックの塊を頭の外に放り投げてから僕は感情を作り直す。

 お花畑から始る僕のイメージは悲しみや憎しみや怒りや愛情やいろいろなものを生み出して最後にプリンで終わる。プリンへの愛や、山田への憎悪が、僕の中に戻ってくる。戻ってくる。

 戻ってきた怒りや憎しみの衝動を僕に手の届かない上空三千メートルまで打ち上げてそれから考えるプリンを取り返す方法を泣いて懇願しながら探すあそこやあそこに漂ってるはずのチャンスを割れないように奪取なぜなら僕はプリン大使の34回目の生まれ変わりでプリンを食べないと死んでしまうから僕は言った「次はなにをすればいいんだ」だけど違うそれはさっきまでとは違う敗者だけに許されたある種の諦め山田は気付いた絶望して目指す僕の仮面。


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「いのうえっ!ハァハァ・・あっ、あぁぁっ・・いのうえぇハァハァ……うっ」

山田都も井上大樹もお互いにお互いを出し抜くことだけ考えていた。荒んだ幼少時代を過ごした彼らに思いやりという言葉はなく如何にして自らの利益を向上させるかが最大の問題だった。しかしそんな彼らの頭上を一つの影が覆った。成層圏を今滞空する巨体の影はオワフと日本とを結ぶ巨大な橋を造り上げた。天使である。

「こんにちは天使でーす。争うのはやめ……ちょ、おまっ、ナニを……うわぁ」あっアレがこんなにもまさかそんなことをry

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まだ





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